楽園ブログ

「いつも心に太陽を!」そんな気持ちで感じたことを綴っています。

「話が聞けている!」~キャリアコンサルタント試験の学びから~

みんな自分の話を聞いてほしい!

アメリカの心理学者アブラハムマズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階で理論化した、マズローの「ニーズヒエラルキー」は、人間の行動を考察するうえでもっとも重要な理論の1つとされています。人は安全、そして生理的な欲求が満たされれば、他者と分かり合いたい、愛情を深めたい、という欲求を持ち始めるとされています。つまり、元来人は自身を理解してほしい、受け入れてほしいという欲求を持っているのですよ。もちろん様々な状況によっては、そのような欲求に蓋がされている場合もありますが、通常であれば自分を素直に表出して受け入れられたい、受け入れられれば、愛情ホルモン(オキシトシン)の作用でじわーっとした幸せな気持ちに満たされるものなのです。自身の悩みはもちろん、生い立ちなどを誰かに話したとき、なんだか心地よい感覚を持ったこのある人はきっと多いのではないでしょうか。

話が「聞けている」ということ

「キャリアコンサルタント」試験の対策として、実技試験対策の有料ロープレをオンラインで5回ほど受けました。そのとき、講師の方がたびたび「話が聞けている」という表現を使っていて、わたしには初学者としてそれがとても印象的でした。要するに、初対面の、何の利害もない、全くもって得体の知れない他人の話をどれだけ聞くことができるのか、これが支援の一丁目1番地ということですよ。キャリアコンサルティングはもちろん、カウンセリング一般について知識のない人は、ただ話を聞けばいいんでしょう?けっこうできそうじゃない?みたいに思う人もきっと多いと思います。たしかに世の中には、相手の気持ちを自然に受容し、共感しながら関わることができてしまう、天性の支援者がいることは否定しませんよ。でも、これを職業として、つまりはプロとして完遂していくためには、知識に基づいた技法の理解と習得が必須なのです。わたし自身長いこと対人支援を生業としていますが、相手によっては、理解できないな、とか、好きになれないな、と感じてしまう方もいらっしゃいますよ。でも、そんなときでもきちんと相手の方に話していただき、受容することができなければ支援など成り立たないのです。相談者は、不幸な経験から警戒心の強い人が多いものです。支援者の少しの油断で、こんなヤツには何も話す気になれない、とだんまりを決め込んでしまうことも稀ではありません。そうなったら最後、支援にはなりませんので結果的に仕事にはならず、試験なら不合格ということになってしまうのです。誰の話でもしっかり「聞けている」ことはとても重要なことなのですよ。

なぜこの人には話したくないと思うのか?

では、話したくない人とはどんな人なんでしょうか?学生のころ、この先生には何でも話せるけど、あの先生には言う気がしない、そんな経験のある人もいるのではないかと思います。わたし自身もはっきりとおぼえている先生がいますよ。先生ってスゴいですよね。功罪は別として、何十年経っても記憶されているのですからね。それはともかく、わたしは、自分が好きになれない先生には「嘘」がある、と常々思っていました。もちろん「嘘」というのは、生徒に嘘ばかりつている、ということではなくて、上手く表現できないけれど、笑顔の下に、「生徒の気持ちを何でも理解できるのが良い先生だ、私は良い先生を目指している、何でも安心して話してみなさい、私は良い先生だ」、みたいなものが見えてくるような人だったと思います。そういう先生は自信に溢れていて、校長からの信頼もあつく、しばらくしてから教頭になって戻ってきたらしいよ、みたいな話が聞こえてくる人だったように思います。本気で生徒を思って何でも話してみなさいって言ってくれるのですから、何が問題なの?、良い先生じゃない?、素直になりなさいよ、と言われれば全くその通りです。わたしの考えが甘いのでしょう。でも、わたし自身の半生、そしてキャリアを振り返りながら、どうしてもそこに違和感が拭えません。その「良い先生たち」に、わたしは言いたい、「先生、順序が違うんじゃないですか?」と。やっぱり順序が違うと思うのですよ。たいした出世もできずもうすぐわたしのキャリアは終わります。無論今のわたしには、何が自分に足りなかったのか、わかっています。本当のことを言うと、出世できなかったことはけっこう残念なんですが、でも、だからわたしなのだ、ということもわかっています。これがわたしのやり方、わたしの人生だったと今は思うだけですよ。

いつも心に太陽を!」