楽園ブログ

「いつも心に太陽を!」そんな気持ちで感じたことを綴っています。

キャリアコンサルタント勉強中ですよ!〈第11回〉   ブリッジスの「トランジッション理論」

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三年寝太郎を知っていますか?

先日、同僚たちとの茶飲み話で、小さい頃の読書が話題になりましたよ。私は、今でこそ本なんかほとんど読まない、しょーもない、「おじさん」ですが、昔は本をたくさん読みました。特に小学生の頃は、本当に読書ばかりしていましたよ。両親はそんな私を見て、ちょっと期待してたかも知れませんが、いただいてくる通知票は「手堅い低空飛行」ばかりなので、そのうち気にもとめなくなりましたよ。それは学校の先生も同じで、だから、私は周りを気にせず、好きな本を読みたいだけ読む、というすばらしい環境に何年もいたのですよ。

直接の読書体験の他には、学校で先生が読んでくれる「紙芝居」がとても好きでしたよ。陳腐ですが、ワクワク、ドキドキが止まらない、そんな思いでいつも畏まって聞いていました。表現力の豊かな先生方に本当に感謝です。「殿様の茶碗」とか「赤い蝋燭と人魚」とか、紙芝居で感動したら、その本を図書室で借りて読む、みたいなことを繰り返していましたよ。今思い出しても、幸せな少年期の一コマです。

そんな中で、今でも残る鮮明な記憶と、大きな感動、そして強い決意みたいなものを抱かせてくれた作品が、民話「三年寝太郎」でしたよ。

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三年寝太郎」とは?

三年寝太郎」は、一日中寝てばかりいて、村人から嫌われている男の話で、ある年のこと、日照りが続いて、村の田んぼに水がなくなってしまった時、村人たちが、寝太郎のような罰当たりが村にいるからだ、と大騒ぎを始めたところ、その夜、寝太郎が山の頂に登って、大きな岩を落とすと、大きな山崩れが起こり、やがて下を流れる川の流れが変わって、村の田んぼに水が引けるようになった、という話ですよ。

こんな人になりたい!

紙芝居を見て、大変な感銘を受け、図書室で本を借りて、何度も読み返しては、感動に浸っていたのが、小学校2年生の時の私でしたよ。血が逆流する、といいますか、胸の震えがとまらない、といいますか、とにかく感動の嵐が私を通り過ぎたころ、「オレもこんな男になりたい!」と堅く心に誓ったのを鮮明に覚えていますよ。三年間、ただ無駄に寝てたんじゃないんだぁ~、すごいぞ寝太郎、すごすぎるぞ~、みたいな感動でした。

「寝太郎」は「うつ」だった説!?

で、読書体験の話の後、久しぶりに「三年寝太郎」を愉しもうと、ググってみたら、「寝太郎うつだった」みたいなのが多くて、え~??、ということになったのですよ。おいおい、オレは「寝太郎」目指して頑張ってきたんだよ~、それはないだろう~ってことで、いくつか読んでみたんですけど、いや、あるかもな~、という感じがしてきましたよ。

まず、「寝太郎」は、元来の怠け者ではないのです。来る日も来る日も一生懸命頑張って働いていたのですが、痩せた土地と水利に恵まれなかった村にあっては、「寝太郎」の努力が実ることがなく、貧困に何年も何年も苦しみ、体力、気力ともにダウンしていたこと。また、母親のためになんとか良い暮らしをと思って、頑張っていたのに、終ぞ報われることないまま、その母親が亡くなってしまい、しだいに無口になり、引きこもるようになってしまったこと。これらのことを考え合わせると、長い月日頑張り続けたが、報われることなく、その上、心の支えも失って、「生」のエネルギーが磨り減ってしまったことによる「うつ」状態、と診ることが適当にも思えます。

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ブリッジスの「トランジッションを乗り越える方法」!

ウィリアム・ブリッジス(William Bridges)は、アメリカの心理学者で、『トランジションー人生の転機を活かすためにー』などの書籍で知られ、トランジションのプロセスを「終焉(何かが終わるとき)」「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」「開始(何かが始まるとき)」の3つの段階に分けて、転機:トランジッションを乗り越える方法を提唱した人です。人生の切り替えを、なんとなく行うのではなく、終焉をしっかりと自身の中で受け止め、現実から逃げることなく自分と向き合うことで、新たな始まりを進めることができる、と考えました。3つの過程を、ごまかさずにしっかり通過していくことで、新たな始まりの中で感じる抵抗にも対処していける、ということでしょうか。

いやいや、「寝太郎」の復活は、自らの無力感と母親の死による、生のエネルギー低下に「ニュートラル・ゾーン」でしっかり取り組み、新たな始まりにつなげていくプロセスと重なるではありませんか!えぇ~、「寝太郎」、やっぱ「うつ」だったの~?

転機を活かす人生を!

キャリアコンサルタントの勉強をして、またひとつ、開けない方が良かった、的なパンドラを開けてしまった感がありますが、でも、「梵天丸もかくありたい!」と、長い間、私の心の支え(?)であった、心の中の「寝太郎」の輝きがこれによって損なわれるなんて全く思っていませんよ。人生誰にも転機は訪れるもの、ピンチもあれば、チャンスもある、そんな転機をしっかり受け止めて、後の爆発的なエネルギーに替えていった男、それが「三年寝太郎」ですよ。彼はやっぱり私にとって、永遠の憧憬なのですよ。「寝太郎」のようでありたい、そろそろ老境を迎えてしまった私ですが、まだまだ、これからもそんな気持ちでいきますよ。いつか村人を救えるかも知れませんしね。

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いつも心に太陽を