楽園ブログ

「いつも心に太陽を!」そんな気持ちで感じたことを綴っています。

『やっぱり心理支援で生きていく』と心に決めた話

昭和な人々が目指した「物語」!

わたしが高校時代を過ごしたのは昭和50年代の中ごろです。当時の先生たちは疑うことなくわたしたちに「物語」を厳しく押しつけていました。勉強して「良い大学」に行け、一流企業で良い仕事に就け、豊かで安定した幸せな未来を手に入れろ!、というわけですよ。もちろん令和の時代でも、この「物語」が無効になってしまったわけではありません。高い能力を身につけ、それを活かしながら豊かで安定していて幸せな日々を送っている人はたくさんいます。右肩上がりの成長の時代は終わっている、良い大学に入れてもそれで幸せになれるわけではない、とか、所謂一流企業に入れてもそれで安泰というわけではない、という言説を数々耳にします。なかなか勝ち組になれなかった人からすれば、そう言い放ってやれば、幾分気持ちの収まりも良いのでしょうが、でも、これって声高に力説することでしょうか?難関大学を出ているからといってそれだけで幸せになれるわけではない、なんて当たり前ではないですか。当然過ぎてそんなことはもともと議論にすらならないことなのですよ。優秀な人間が努力を重ねて難関大学を卒業し、さらなる競争を勝ち抜いて大企業で活躍していく、当然豊かになれますし、外車なぞに乗りながら大見栄を張ることができるようにもなるのです。それは厳然たる事実です。しかし、だからといってそれで人が幸せになれるとは限らない、そんなことはすこし考えれば誰にだって分かることです。昭和の先生たちが押しつけた「物語」は最近になって有効でなくなったのではなく、最初から部分的に「底が抜けていた」のです。

熟々人間は厄介でおもしろい!

勉強をした、高い能力を身につけた、豊かな生活も手に入れた、でも、ぜんぜん楽しくない、幸せじゃない……。やれやれ人間はつくづく複雑で厄介ですよ。でも、それが人間なんだと思うと、愛おしくも思います。そして、信じていた「物語」が、実は「底が抜けていた」ことに気づいたからといって、すぐに深刻なピンチになってしまうかというと、実はそうでもないところがまた面白いのですよ。

「物語」に縛られない生き方を!

何も難しいことではありませんが、優秀な方々にも「物語」から抜け出せない人は多いものです。第三者からすれば十分成功しているのに、頑張ってきた自分の人生を振り返り、何でぜんぜん楽しくないんだ~?、何のためにオレはがんばってきたんだ~?、これじゃぁオレの人生「意味」なくね~?、みたいな感じですよ。「意味」の世界に生きていると、人間は脆いものです。ぽっかり心に穴が開いて、どうしても埋められず抜け殻のように生きるか、ときに《最悪》、ということもあり得ないことではありません。

「意味」と「強度」

では、何がわたしたちを「最悪」から遠ざけてくれるのか、それは「意味」の充実感とは違う種類の充実感であり、それは哲学上の概念である、「体感」というものです。高校球児たちは、その多くが甲子園でプレーすることを夢見ています。もし、日々の辛い練習が、甲子園で活躍する、という「意味」のみに支えられているとしたら、その夢が潰えたとき、「意味」のない虚しい日々となってしまうのは当然です。事実そう感じて、虚しさを抱えたまま卒業していく生徒たちは多いだろうと思います。中には、努力した日々は決して無駄にはならない、大事な仲間に出会えたじゃないか、これは一生の宝物だ、などとさらに別の「意味」に縋ることで、遠回りをする者もいるでしょう。しかし、しだいに彼らの中には気づく者もいるはずです。本当の宝物は、厳しい練習に黙って耐えたことでもなければ、大事な仲間と過ごした時間でもない、その一瞬一瞬に精一杯生きた生命の輝きであったたことに。ある者は大事な試合でヒットを放ったときの手指の感触に、ある者は大きな声援を受けてバッターボックスに入ったときのこれ以上ないほどの気持ちの高まりに、生命が言葉を超えた輝きをもたらしたことを「体感」するのです。それは時を経ても、そこから何度でも勇気が湧いてくるような感動です。それは言葉では決して説明できない、生きていることの素晴らしさであり、「体感」するしかないもの、哲学ではそれを「強度」と読んだりすることもあります。わたしたち人間は、この「強度」のなかでこそ、勝敗といったような「意味」とは違う種類の充実感に満たされるのです。

心理支援で生きていく……

「意味」に囚われた人間はときに絶望するものです。しかし、絶望するくらい強い思いで「意味」を求めた人には、本人が気づいていないだけで、信じられないくらいの「強度」「体感」を自身の内に秘めている人が多いものです。わたしは、人間の持つ「生の輝き」を信じ、心理支援で生きていくと心に決めたのです。

いつも心に太陽を!」