楽園ブログ

「いつも心に太陽を!」そんな気持ちで感じたことを綴っています。

頑張れ!公認心理師試験〈第3回〉      カウンセリングで人は変えられますか?

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カウンセリングって役に立つの?

私は、目下、『キャリアコンサルタント』資格を取得するべく、養成講座を鋭意受講中で、「ロープレ」演習に取り組みながら、この人は「コミュニケーション不足だな」とか、「職業理解が足りてないな」、みたいな具合で、毎週悪戦苦闘しているところですが、そもそも、世の人の素朴なギモンとして、カウンセリングで人は変えられるの?、というのがありますよね。ネガティブな自動思考が止まらない、いわゆるうつ状態の人はもちろんのこと、キャリア形成で不適応を起こしている人に対して、何回かカウンセリングをしたくらいで、本当に人間は変われるんだろうか?、ということですよ。

特に、心理学を学んでいない人、もしくは、人生においてあまり大きな問題に遭遇することなく、ある程度の成功を収めてきた人などは、「カウンセリングによる変化」、にはとても懐疑的ですよ。強いメンタルの人々の中には、カウンセリングはヒーリングのようなもの、みたいに捉えている人もいます。

結論から言うと、カウンセリングや心理療法によって、直接的に人間を変えることは極めて難しい、けれども、その人の「考え」はある程度変えられる、と言うことはできると思います。いや、人の「考え」は変えられる、どころか、「考え」はどんどん変化しているものなのですよ。

『認知的不協和理論』を知っていますか?

人間の「考え」は変えられる、どころか、そのときの都合で、人間は、自分の考えをホイホイ変えてしまう生き物、であることを世に知らしめる実験を行った人、アメリカの心理学者、フェスティンガー(Leon Festinger)による「認知的不協和理論」は、とても意義深いものですよ。フェスティンガーの行った実験は、心理学の魅力を思う存分に感じることのできる、素晴らしい実験でした。

フェスティンガーは、学生をたくさん集め、極めて単純で退屈な単純作業をしてもらい、その後で、他の人にその作業は「面白かった」と嘘をついてもらう実験を行いました。そして、その際、実験をする学生を、謝礼が単純作業に対しても不足と思われるほどの、ほんの少しの金額のグループ、謝礼が単純作業に対しては十分すぎる金額の2群に分け、実験後に、双方の学生たちに、本当は楽しかったのか、楽しくなかったのか、と聞いたのですよ。心理学の実験には、「シロクマ実験」のように、本当に、なるほど、それは面白い、と思わせてくれる実験がたくさんありますが、フェスティンガーの実験は、その中でも、最も素晴らしい実験だったと私は思っています。

f:id:rakuenblog:20220207114449j:plainで、実験の結果はどうであったか、というと、謝礼を十分にもらった学生たちのほとんどは、「もちろん、本当につまらなかったですよ」、と答えたのに対して、謝礼があまりに少なかった学生たちの多くは、「いや、そんなにつまらなくなかったですよ」、って答えたのですよ。f:id:rakuenblog:20220207114655j:plain人の「考え」は変わる!

フェスティンガーの実験の面白さ、わかりますか?単純な作業は、2群のどちらの学生にとっても、本当はつまらなかった、のです。でも、謝礼の少ない学生たちは、それほどつまらなくまかった、と回答し、十分な謝礼の学生たちは、もちろんつまらなかった、と回答したわけです。すべての学生たちは、同じ作業をしたにもかかわらず、ですよ。なぜ、謝礼の少ない学生たちは、おもしろかった、なんて言ったのでしょう。嘘をついた、と思いますか?いやいや、嘘をつく理由なんかありませんから、本当の気持ちとして、「それほど、つまらなくなかった」と感じたのですよ。では、なぜ、単純な作業を本当につまらなくなかった、と感じることができたのか、これが、人間は状況によってどんどん自分の「考え」を変えてしまう生き物である、ということなんですよ。十分な謝礼の学生たちにとっては、つまらない作業は、謝礼の少ない学生にとっても、つまらないはずですよ。でも、単純な作業に対して、受けた報酬があまりにも少ないと感じた学生たちは、こんな少ない金額では全く見合わないつまらない労働をした自分を受け入れることができずに、このくらいの少ない金額でも、なんとが我慢できる程度の作業だった、と自分の「考え」を瞬時に変えたのです。謝礼の少ない学生たちは、心の底から「そんなにつまらなくなかった」と感じたのですよ。

こういった実験は、一人や二人の実験では議論のしようがないですよね。たまたま、その人たちはそうだった、かも知れないからです。でも、何十人、何百人と実験を重ねていけば、100%ではないものの、ある程度客観的と言えるほどのデータは取ることができます。今日の心理学の識見は、こういった実験のデータに基づいているのですよ。知れば知るほど、心理学はおもしろいですよね。

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心理支援もキャリア形成支援も人を変えられますよ!

認知行動療法」は、現在、心理療法といえば、「認知行動療法」と言われるくらい、まさに心理療法の王様ですよ。もちろんすべての人に効果がある、とまでは言えませんが、確実に多くの人々を救っていますよ。だって、状況によって、人が変えてしまう「考え」が「認知」というものなのですからね。ネガティブな自動思考に陥って、苦しんでしまっている人の「考え」を変えることができれば、救われる人もいるわけです。カウンセリングとか、心理療法とか、なんだか、魔術みたいに感じている人も多いかも知れませんが、科学的な識見に基づいて、多くの人の人生を変え、確実にエンパワメントしていける可能性もあるのですよ。私は、キャリア形成支援も含めて、多くの人を支援できる力を身につけたいと思っているのですよ。

f:id:rakuenblog:20220207114805j:plainいつも心に太陽を